卒後研修後、経験を重ねてくると臨床現場での『悩み、迷い、不安』が生じてきている先生も少なくないはずです。矯正治療においても『教科書通りにはいかない』、『学生時代の知識だけでは・・・』と不安を抱えつつも、臨床で矯正治療を取り入れたいと考えている先生や、矯正治療を遠巻きに見ているだけの先生もみえるかと思います。また、不安にかられて矯正の講習会を何度も受講して、さらに混乱されている先生もみえるかもしれません。
今回、愛知学院大学歯学部同窓会ポストグラディエートコースでは、そんな卒後間もない先生や開業したての先生、矯正治療を始めたばかりの先生を対象に、『矯正治療の勉強法』、『症例の見きわめ方』、『矯正治療の落とし穴』、『矯正器具・材料の選び方』、『症例別の対処法』を中心に学んでいただきます。さらに、臨床の現場で新米の矯正医の育成に携わっている若い医局員からの症例や勉強法のプレゼンテーションも企画しています。また、お悩みの症例があれば、お気軽にご相談ください。
この講演を通じて、先生方の日頃の矯正治療に対する『悩み、迷い、不安』に対して解決の糸口を発見していただき、矯正治療に取り組む歯科医師として今後のさらなるステップアップの入口となれば幸いです。
日本矯正歯科学会,日本顎変形症学会,日本口蓋裂学会,日本顎関節学会,日本スポーツ歯科医学会,愛知学院大学歯学会 AAO,IADR,他会員
後藤教授・宮澤教授・加藤先生を講師に迎えご講演賜りました。
後藤教授の歯科矯正治療に対する考えや、矯正専門医でなくても積極的に矯正治療にトライして欲しいが、注意すべき点や手を出してはいけない症例はしっかり見極めて頂きたいという内容のご講演から始まりました。
続いて豊橋市でご開業の加藤先生は一般歯科で開業された後、矯正を臨床に取り入れ勉強されて今や矯正の勉強会でインストラクターをされるほどの先生で、ご講演も情熱的でご自身の苦労された症例も、笑いを交えて大変考えさせられる内容でした。
行き当たりばったりの何となくやっている治療を「居酒屋矯正」と表現されて、「とりあえずビール!」と同様にとりあえずの治療ではなく、レストランのコース料理のような、前菜からデザートまで綿密な計画に基づいた治療が大切ですというように、日常の生活に置き換えた共感のしやすい表現ですんなり抵抗なく頭の中へ入ってきました。
講演の終盤で宮澤教授は、矯正用アンカースクリューによる最先端の矯正治療についてご講演されました。今までのヘッドギアやフェイシャルマスクと比較し、より効率的に治療を進められたり、歯茎が見えすぎているガミースマイルの症例にも良好な治療結果を得られるなど、今後の歯科矯正治療に大きな希望を持てるものでした。
現在の最先端の歯科矯正治療がどの程度のことまでできるのかを知ることができ、患者さんを紹介する際にも現実的な説明により納得していただけると思います。また実際の臨床にどうやって矯正治療を取り入れようかと、手をこまねいている先生方にとっては、背中を押していただけるような心強い内容で、新しい一歩を踏み出すきっかけとなったのではないでしょうか。