●日時:平成30年7月22日(日)9:30~13:00
●講師:冨士谷 盛興 氏
近年の貴金属価格の高騰,あるいは患者の審美的要求や金属アレルギー問題などにより,CAD/CAM法によるセラミック冠(含 ハイブリッドレジン冠)の需要は高まるばかりです。昨年末に下顎第一大臼歯へのCAD/CAMレジン冠が,算定要件に制限があるものの保険収載されたことは記憶に新しいと思います。またその一方で,依然として外れる,割れるといった事例が少なくないようです。
CAD/CAM冠の装着には,レジンセメントの使用が必須です。しかし,確実な接着のためには,セラミックプライマーやレジンセメントを正しく使えば良いと理解していても,何をどのように使えば良いの? いまさら聞けないしと,実際どうすれば良いのかはっきりわからないのが本音ではないかと思います。
また,修復用ボンド併用のレジンセメントなる新製品が相次いで発売され,既存のプライマー付レジンセメントとの使い分けは? ワンステップボンドで接着は大丈夫?などと臨床の現場は混乱しているのも現状です。このように,最近のセラミック修復の頻度急増とボンド付レジンセメントの発売ラッシュに煽られて,接着をもう一度勉強しなくてはという声もよく聞きます。
本講演では,セラミック冠における「ワンランク上の確実な接着」を目指して,各種セラミックスの適切な接着法やワンステップボンドの正しい使い方などについて,“勘所”を含めポイントとテクニックを整理します。
平成30年7月22日(日)第1回愛知学院大学歯学部同窓会ポストグラデュエートコースが開催されました。講師は愛知学院大学歯学部特殊診療科教授 冨士谷盛興先生をお招きし、演題「われない、はずれないCAD/CAMレジン冠とセラミック冠ワンランク上の接着をめざして」でご講演いただきました。
まず初めにCAD/CAM冠は、なぜ割れる外れる事故が多いのかについて詳しく説明いただきました。その大きな原因としては2つあり、支台歯形成に問題があること、修復物と歯質が物性の高いセメントで一体化されていないとのことでした。
またワンランク上の接着として支台歯(象牙質)とレジンセメントとの接着強化にはボンド併用が大変有効であることを話されました。
次にユニバーサルタイプのワンステップボンドの使い方、特性について説明いただきました。いろいろなメーカーの製品特性から始まり、確実に接着させるテクニック5か条 (1)液を処理直前に用意する (2)1滴は用意する (3)窩洞全体にたっぷり塗るか、新しい液を何度か塗り足すように最低10秒は塗布 (4)Air-blowは5秒以上しっかりと (5)インジェクタブルライニングは必須をお話いただきました。
最後に歯根破折を防ぐモノブロック修復についてお話しいただきました。ワンランク上の接着を活かした簡易な臼歯審美修復法として、レジンコーティングとハイブリッドセラミックによるモノブロック修復によりコロナルリーケージと歯根破折防止+歯冠長のない臼歯のクラウンをご説明いただきました。ワンランク上の接着をめざして・・・日々エラーの起こりやすい接着操作について科学的根拠をベースにわかりやすくご講演をいただきました。明日からの臨床に活かしながら気を引き締めたいと思います。