●日時:2019年12月8日(日)9:30~13:00
●講師:西田 亙 氏
2018年6月、アムステルダムで開催されたEuroPerio9において、アメリカおよびヨーロッパの歯周病学会が、19年ぶりに新しい歯周炎分類を発表した。この分類表の中に、「HbA1cと高感度CRP」が登場している。
なぜ、歯周炎の新分類が「糖尿病と慢性炎症」に配慮することになったのか?この理由と背景を知ることこそが、今後の歯科医科連携構築および推進のための鍵となる。
我が国においても、政府が発表する骨太方針2018において「地域における医科歯科連携構築」の重要性が謳われ、平成30年春には”歯科医科”を結ぶ新たな診療報酬として「診療情報連携共有料」が登場しているが、その裏には歯科医療のみが持ち得る「予防的力」が存在している。
加えて2019年1月、Science Advances誌に掲載された衝撃的な学術論文が、世界中の医科、薬科、製薬企業、そして投資家を驚嘆させた。アルツハイマー病患者の脳組織中に P. gingivalis とその分泌酵素であるジンジパインが集積している事実が明らかになり、動物実験によりジンジパイン阻害薬の有効性が明らかにされたのである。
演者は、10年にわたり歯科医科連携に取り組む中で、なぜこのような”口腔と全身を繋ぐ潮流”が世界中で生まれているのか?その背景を学術的根拠に基づき、糖尿病専門医の観点から理解した。本講演では、これらの最新知見を紹介する。
令和元年12月8日(日)PGC講習会が行われました。
今回は講師として、にしだわたる糖尿病内科 西田亙先生をお招きし、 「世界中で湧き起こる歯科医科連携への期待」 -国民と医科を歯科医療に覚醒させるために- 演題にてご講演いただきました。
12月になって冬らしい寒さの日曜日歯科医師、歯科衛生士合わせて約100名の受講生にて開催されました。ご講演は、歯科医療が全身疾患を予防改善させるエビデンスを、歯科関係者である我々が知り、それを歯科から国民に、歯科から医科に覚醒させることが、歯科界の発展、国民の利益に繋がることをご教授いただきました。
「相扶け、相磨き、職域を完うする」と日本歯科衛生士会初代会長の言葉を通し、歯科衛生士71年の歴史の重みを説明。歯科衛生士は、歯科治療を通して生命を衛る専門家と書き、唯一の予防ができる職業である。また政府の骨太の方針に他の職種は出てこないのに歯科衛生士の記載があるくらい、国も歯科界に期待している。
「歯科が誇るべき連続性」対象は乳幼児から高齢者まで。幼少期から人生の最後まで。継承による世代を超えた診療。万が一の時は遺族の元へ。昭和薬品化工の「歯周病と糖尿病」の動画の紹介。また歯科通院による全身疾患への有効性についても説明。高病原性の歯周病菌は全身に播種する。Pg菌が分泌する蛋白分解酵素ジンジパインがアルツハイマー病患者の脳内に検出され、ジンジパイン阻害薬によるアルツハイマー治療薬の治験が始まっている。 令和の予防歯科は、人々の体を鎮め人々の未来を守る鎮守である。最後に医療面接についてロールプレーニングを行いながらご教授いただきました。 講習後の質問にもすべてご丁寧にお答えいただき、大変有意義な半日講演でした。