演者は,診療終了後に小児を笑顔で帰すことを“心に貯金をする”と表現している。心に貯金をすると,いつまでも来てくれる患者になる。
これが小児歯科にとって,最も大切なことだと思い診療を行ってきた。
目の前の小児の診療をしながら,頭の中に80歳で28歯が残存している口腔を頭の中に思い描く。 泣き暴れていれば,“強制治療を行なえば良いのか?”,“トレーニングをしている間に齲蝕が進行しても良いのか?”。そして“どのように保護者に伝えれば,もっと歯に興味を持ってくれるのか?”,あるいは“どのように付き合えば,いつまでも来てくれる患者さんになるのか?”。さらには“対社会的にどのような活動をすれば,その目標が達成できるのか?”。こう考えると,一歯科医師として大切にすべきことが見えて来る。
ところで,“現代社会における成功”とは 何だろう? 演者は「楽しく・有意義に仕事をしながら食べていける」ことだと思う。歯科界は,以前と比べ厳しい状況にあるが,それが可能な数少ない仕事の一つである。そういう意味で“恵まれた仕事”であるし,この仕事に従事していることに感謝しなくてはならない。
でも毎日,診療室で患者さんの歯ばかり見ていると,自分の仕事の持つ意味が見えなくなりがちである。・・・ということで,今日は小児歯科診療や口腔機能発達不全症,さらに食育にまつわる深いイイ話,元気になる話をしながら,歯科医療の持つ意味について考えてみたい。
日本小児歯科学会:指導医
日本障害者歯科学会:認定医 評議員
日本口腔衛生学会:認定医
禁煙科学会:学術委員
国際歯科学士会(ICD)会員
小児歯科・障がい児歯科・健康教育