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第3回講演

嚥下内視鏡検査の基礎と実践

●日時:2024年11月17日(日)9:30~12:30
●講師:中川 量晴
●日歯生涯研修コード:3405

講師からのメッセージ

訪問診療で地域医療にかかわると、食支援の知識と技術が求められる機会が多いことに気づかされます。食支援とは何を目指すものでしょうか?わたしどものこれまでの研究で、嚥下機能と要介護高齢者の生活の質などとの関連を調べたところ、生活の質を高く保つことが嚥下機能維持に強く関連することが分かりました。これは、生活を楽しめるような支援がそのまま嚥下リハとして成立する、というまったく新しい考え方を提起しており、食支援の概念を変える可能性があります。
現在の歯学教育では、高齢化、在宅医療、多職種連携、口腔機能そして摂食嚥下障害などが重点的な教育項目として明記されています(歯学教育モデル・コア・カリキュラム令和4年度改訂版,文科省)。しかし、これらの項目は座学のみでなく、臨床実地などで実際の患者さんと関わってこそ初めて教育効果が高まると考えます。そのような背景からも、本研修会は、摂食嚥下に関する新しい知見をまじえて地域での「食べる」支援のヒントを提示するとともに、学生や若手歯科医師が臨床実地教育を受けられるフィールドを提供する指導者、教育者的な立場になられる先生方の研修、という位置づけになるよう内容を充実させていきたいと考えています。

講演内容

  1. 嚥下診療の流れを理解しよう ~嚥下診療のフェースとは?
  2. 生活支援と嚥下機能 ~最新の研究知見から
  3. 嚥下障害患者の何をどこから評価すればよいか
  4. 嚥下内視鏡検査の評価をどう活かすか
  5. 実際に嚥下内視鏡を操作してみましょう

略歴

2005年
愛知学院大学歯学部 卒業
2009年
日本大学大学院歯学研究科 修了
2009年
日本大学歯学部 摂食機能療法学講座 専修医
2010年
昭和大学歯学部 スペシャルニーズ口腔医学講座 助教
2013年
藤田保健衛生大学(現、藤田医科大学)医学部 歯科 助教
2016年
同 講師
2018年
東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 高齢者歯科学分野 助教
2020年
同 摂食嚥下リハビリテーション学分野 助教
2022年
同 摂食嚥下リハビリテーション学分野 准教授
現在に至る

所属学会

日本老年歯科医学会(代議員) 認定医・専門医・指導医、摂食機能療法専門歯科医師
日本障害者歯科学会(代議員) 認定医・指導医
日本摂食嚥下リハビリテーション学会(評議員) 認定士
日本咀嚼学会(評議員)
口腔病学会(評議員)
日本臨床栄養代謝学会 認定歯科医
日本有病者歯科医療学会
日本歯科医学教育学会
日本遠隔医療学会
日本口腔リハビリテーション学会
日本顎口腔機能学会

最近の文献

  1. 中川量晴.【総説】人と生活を支える訪問での摂食嚥下の診療.老年歯科医学,38(4), 2024. in press.
  2. Nakagawa K, Yoshimi K, Tohara H. et al. The safety of oral rehydration solution jelly for water and electrolyte intake in patients with dysphagia. Therapeutics and Clinical Risk Management. 19: 219-227, 2023.
  3. Yoshimi K, Nakagawa K, Tohara H. et al. Factors Related to Oral Problems in Patients with Prolonged Disorders of Consciousness in Long-Term Care: A Cross-Sectional Study. Healthcare. 11 (11): 1622, 2023.
  4. Yamaguchi K, Nakagawa K, Tohara H. et al. Association between characteristics of swallowing‑related muscles and trunk muscle mass. Scientific Reports. 13 (1): 7814, 2023.
  5. Ishii M, Nakagawa K, Tohara H. et al. Time Spent Away from Bed to Maintain Swallowing Function in Older Adults . Gerontology. 69(1): 37-46, 2022.