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〈女性企画委員会コラボ講演会〉
愛知学院で学ぶ「歯科と栄養」

●日時:2025年1月26日(日)9:30~12:30
●講師:宇野 智子 氏、熊谷 琴美
●日歯生涯研修コード:3405

講師からのメッセージ

宇野 智子
「卒前教育における歯科と栄養士の相互理解を目指して」
近年、歯科分野において栄養士の役割が注目されています。歯科医院の先生方には、栄養士・管理栄養士の業務についてまだまだ認知されていない内容が多いと思われますが、管理栄養士は歯科診療において特に予防の面で大きな役割を担うことが期待できます。
本講演では、歯科分野における栄養士の相互理解を図るため、管理栄養士過程において学生がどんな内容を学んでいるか、愛知学院大学健康科学部健康栄養学科のカリキュラムを紹介しながら解説いたします。また、歯科衛生士過程との食に対する考え方、就職に対する考え方の違いについてアンケートの結果を紹介し、医療チームとして臨床現場での協力し合いながら、患者さんの健康改善に貢献できる参考になればと思います。

熊谷 琴美
「在宅医療の嚥下障害、がん、神経難病患者への栄養療法について」
近年、高齢化の進展に伴い医療需要が増える中、医療・介護が必要となっても地域で安心して生活が送れるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築が推進されている。その中で、住民が住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最期まで続けるためには、食べることへの支援は必要であり、歯科と栄養の関わりは予後に大きく影響する。令和6年の診療報酬では、在宅医療におけるICTを用いた在宅医療情報連携加算が新設された。医師、歯科医師が医療・ケアに携わる関係職種(管理栄養士も含む)とICTを用いて記録した診療情報等を活用し、計画的な医学管理を行う医療情報連携の推進が重視された。さらに、在宅療養支援診療所及び在宅療養支援病院では、施設基準として訪問栄養食事指導を行う、または栄養ケアステーション等、訪問栄養食事指導の連携体制が可能であることが算定要件とされた。栄養について多職種が連携し、的確に対象者を把握、速やかに評価や介入を行える体制を構築することが重要視された。今回、在宅診療を受けている嚥下障害、がん、神経難病患者の症例を通して、管理栄養士の栄養療法の実践について報告する。ICTを用いた連携では、医師、歯科医師、訪問看護師、介護支援専門員の多職種と家族との連携について紹介し、在宅医療における管理栄養士の栄養療法と役割についてお伝えしたい。

講演内容

宇野 智子
  1. 栄養士と管理栄養士の違い
  2. 管理栄養士過程の教育内容
  3. 歯科衛生士過程と管理栄養士過程の間食に対する考え方の違い
  4. 管理栄養士過程の就職先について
  5. 管理栄養士から歯科分野に期待すること
熊谷 琴美
  1. 地域包括ケアシステムと栄養管理
  2. 在宅医療における管理栄養士の役割
  3. 訪問栄養食事指導の実践
  4. 在宅医療における多職種連携(ICT活用)

略歴

宇野 智子
1992年
名古屋市立大学医学部卒業
1992年
名古屋市立大学病院内科 研修医
1993年
中部労災病院 研修医
1994年
中部労災病院内科、糖尿病センター 医員
2000年
名古屋大学総合保健体育センター 研究生
2004年
愛知学院大学教養部 講師
2008年
愛知学院大学心身科学部健康栄養学科 准教授
2015年
愛知学院大学心身科学部健康栄養学科 教授
2022年
愛知学院大学健康科学部健康栄養学科(改組)教授(現在に至る)
 
熊谷 琴美
1997年
公立学校共済組合東海中央病院事務部給食課 (2009年まで)
2010年
医療法人かがやき総合在宅医療クリニック非常勤(2014年まで)
2014年
岐阜市立看護専門学校 非常勤講師(臨床栄養・栄養代謝学)(2019年まで)
医療法人正翔会 正翔会クリニック 非常勤(2022年2月まで)
小笠原内科・小笠原訪問看護ステーション 非常勤(2020年まで)
みうら内科クリニック 非常勤(現在に至る)
2017年
大阪市立大学大学院生活科学研究科 食・健康科学コース 栄養医科学講座
前期博士課程修了(生活科学修士)
2020年
至学館大学栄養科学科 非常勤講師(現在に至る)
2022年
名古屋学芸大学大学院 栄養科学研究科後期博士課程修了(栄養科学博士)
2022年
愛知学院大学心身科学部健康栄養学科 講師
医療法人結 結ファミリークリニック 委託管理栄養士(現在に至る)
2023年
愛知学院大学健康科学部健康栄養学科 講師(現在に至る)
資格:栄養士、管理栄養士、在宅訪問管理栄養士、在宅栄養専門管理栄養士
 

所属学会等

宇野 智子

日本健康・栄養システム学会(理事)
日本臨床栄養学会(評議員)
日本栄養改善学会(評議員)
日本老年医学会

熊谷 琴美
日本在宅栄養管理学会 理事
在宅訪問管理栄養士特定分野認定制度運営委員会 委員
日本栄養士会 
在宅栄養専門管理栄養士認定委員会 委員
日本在宅医療連合学会 評議員
保険委員会委員会 委員
多職種連携委員会 委員
日本在宅ケアアライアンス データブック委員会 委員
日本栄養代謝学会
日本病態栄養学会
日本栄養改善学会

最近の文献

宇野 智子
  1. 大腿部筋電気刺激機器を用いた運動が糖代謝に及ぼす急性効果
    上田 洋子, 宇野 智子, 長崎 大,大澤 功, 佐藤 祐造
    日本体質医学会雑誌84巻2号 78-83(2022)
  2. バナナの摂取が持久性運動時の主観的疲労感に及ぼす影響
    長崎 大, 宇野 智子ほか
    臨床栄養140巻3号 346-352(2022)
  3. 他動式体幹運動機器を用いた運動が糖代謝に及ぼす急性効果に関する検討
    宇野 智子, 三浦 卓, 上田 洋子,長崎 大, 梶岡 多恵子,佐藤 祐造
    糖尿病64巻7号 377-380(2021)
  4. 糖尿病の運動療法に関する基礎的、臨床的研究 体質改善を目指して
    佐藤 祐造, 森 圭子, 宇野 智子,長崎 大, 濱島 一樹, 横地 正裕
    日本体質医学会雑誌81巻1号 65-72(2019)
  5. 歯科衛生士養成校学生の就職の決定要因と就業への期待
    犬飼 順子, 宇野 智子, 高阪 利美
    第77回日本公衆衛生学会総会 (2018)
熊谷 琴美
  1. 熊谷琴美, 伊藤勇貴, 岡田希和子. 外来通院中高齢者における筋力に及ぼす要因の検討.日本在宅医療連合学会2(1), 35-44, 2021.
  2. 熊谷琴美, 伊藤勇貴, 岡田希和子. 地域包括支援センター利用者における栄養指導効果の検討. 日本在宅医療連合学会2(2), 9-18, 2021.
  3. 訪問栄養食事指導実践テキストブック, 第4章第8節⑦若年者のがん終末期における在宅での栄養管理. メディア・ケアプラス, 2022. (共著)
  4. 栄養管理プロセス, 地域活動分野事例2 S状結腸がん, 腸閉塞. 公益社団法人日本栄養士会, 第一出版, 2022. (共著)
  5. 熊谷琴美, 大森美穂, 坂井田栄子, 長尾強志, 伊藤勇貴, 葛谷雅文, 岡田希和子. がん患者の消化管閉塞に対する訪問栄養食事指導の取り組み. 日本在宅医療連合学会誌 4(1), 28-31, 2023.