●日時:平成30年10月14日(日)9:30~13:00
●講師:栗木 みゆき 氏、良盛 典夫 氏
地域で暮らす重い障害を持った方々が多くなってきている現在、地域包括ケアが重要となり、歯科もその役割を負っていかなくてはいけません。特に口腔ケアの重要性が理解され、専門職である歯科衛生士への期待が大きくなってきており、歯科衛生士は病院や診療所から地域に出かけることが必要となってきます。
しかし重度の障害を持った子供から高齢者への口腔ケアは摂食嚥下障害の方が多く、非常にリスクを抱えているなかでの口腔ケアです。口腔ケアで誤嚥をさせない、安全に口腔ケアを行うためには、姿勢などポジショニングをどうするのか、唾液や汚れの処理をどうするのか考えて行う必要があります。そして口だけを見ているのではなく、全身を観察しながら、ケア中に血圧など体調の変化にも気を付けることが大切です。
さらに、口腔内をきれいにするだけでなく、口腔機能を高めるための口腔ケアを提供し、食べることを支える役割もあります。
今回、多くの症例を通して在宅での様子を知っていただき、歯科衛生士として何ができるのか、考えてもらえればと思います。
公益社団法人 岐阜県歯科医師会 地域保健担当理事
一般社団法人 多治見市歯科医師会 副会長
愛知学院大学歯学部小児歯科学講座非常勤助教
日本障害者歯科学会 認定医・代議員
岐阜県障害者歯科ネットワーク協力歯科医
多治見口腔ケアグループ はねっと 代表
訪問歯科衛生士として在宅・施設・病院にて、障害児から高齢者に口腔ケア・口腔機能訓練を実施
日本歯科衛生士会 岐阜県歯科衛生士会
日本障害者歯科学会
日本重症心身障害者学会
日本老年歯科医学会
日本摂食嚥下リハビリテーション学会
岐阜県嚥下障害研究会
東海障害者歯科臨床研究会
医療的ケアネット
多治見在宅NST研究会(主宰)
日本矯正学会
近畿東海矯正学会
日本重症心身障害学会
日本障害者歯科学会
日本学校歯科医学会
医療の質、安全学会
日本歯科医療管理学会
「障害のある人たちの口腔のケア」 クリエイツかもがわ 監修 玄 景華 著 栗木 みゆき
平成30年10月14日(日)に第3回目の愛知学院大学歯学部ポストグラデュエートコースが開催されました。
今回は、訪問歯科衛生士の実際の活動の様子を知ろう!-地域で食べるを支えることは…多くの症例から(障害児から高齢者まで)-の演題で多治見市開業の良盛典夫先生をお招きし、多治見市歯科医師会が平成6年から多治見市と協力して訪問診療を開始し地道に25年間訪問診療を続けて実績を重ね、医科からも術後の回復が歯科医師、歯科衛生士が入ることにより、より早く回復したと報告を受けています。
訪問診療において、患者様の訪問医・ケアマネ・訪問看護士等の多職種の関わりと全身状態・内服薬等の情報を収集し常に情報の共有を心がけることが重要であります。
また、最初に患者様の部屋の状況・ベットの種類も含めて周りの状況をスマホにて写真と動画に残せれれば残しておき、顔・口腔内の状況を半年・1年後に比較して見ることが大切でり、訪問治療により良くなることも大切であるが、現状維持することも大切であると認識して治療することも大切であります。
今後は、高齢者が増加し、訪問歯科診療の依頼が増加し患者様と家族に寄り添う医療の提供が必要となります。
後半は、多治見口腔ケアグループはねっと訪問歯科衛生士の栗木みゆき先生をお招きし、今後は訪問口腔ケアに歯科衛生士が1人で訪問する機会が増加するため、全身も観察しながら口腔ケアを行い衛生士が1人で伺う時の危機管理を持つことが大切であるとの事でした。
また、障害児の口腔ケアは家族にも伝え理解を得ることも重要であり、病名だけでは判断出来ないこともあるので見てから判断することが大切であり、病名にも幅があり、重度と軽度により対応が異なるケースもあるとの事でした。
患者様の重要な情報は記載し必ず変化があれば多職種で共有することも必要との事でした。
【実習】
誤嚥させないブラッシングをする。
口腔マッサージは、肘から動かすことが大切でゆっくりマッサージする。
麻痺側は強めに行い、過敏側は弱めにゆっくりと行う。
Kポイントは、餃子ガーゼは少し濡らしてから行う、開口後はブラッシングしながらガーゼにて拭き取る。
舌のマッサージにて舌の動きをみる。ブラシにて奥から手前に舌苔を取る。
マッサージ効果もある。
保湿剤は塗り込むように使用する。
今回の講演にて、今後は高齢者の増加に伴い訪問歯科診療の増加が予想されます。訪問医・ケアマネージャー・訪問看護士等との多職種連携が必要不可欠な状況となります。患者様の情報を共有することの大切さを痛切に感じました。